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著者: Emma

ビルド番号は、vCenterサーバー上で実際に稼働している環境を特定する最も精密な手段です。「Update 3」といったバージョン名とは異なり、ビルド番号は適用されているホットフィックス、セキュリティ更新プログラム、API機能一式を含め、アプライアンスの正確なパッチレベルを反映します。

本ガイドではvCenterビルド番号の意味、確認方法、アップグレード・互換性チェック・サポート問い合わせ時の活用方法を解説します。

vCenterビルド番号とは何か

vCenterサーバーの稼働には複数のソフトウェアレイヤーが必要です。ビルド番号はVMwareがvCenterコードベースの特定コンパイル版に割り当てる一意の連番識別子です。バージョン文字列と照合することで、自身の環境で実行されているコードを正確に把握できます。

vCenterビルド番号とは

ビルド番号とバージョン文字列の違い

バージョン文字列は「8.0 Update 3b」といったソフトウェアの販売用リリース名です。ビルド番号は「24026615」のような7~8桁の数字列です。

  • バージョン文字列:大まかな機能セットとリリース周期を示す
  • ビルド番号:重大なセキュリティ脆弱性の修正状況を含む正確なパッチレベルを示す

ESXiホスト、バックアップエージェント、ストレージプラグインとの互換性検証には、2つの識別子が両方必要となります。

運用で登場する3種類の識別子

管理者は日常的な運用で以下の3つの異なる識別子を取り扱います。

  • アプライアンスバージョン:仮想アプライアンスOSと各種パッケージの総合バージョン。vCenterサーバーアプライアンス管理インターフェース(VAMI)の概要ページ、vSphereクライアントのバージョン情報ダイアログに表示されます。
  • ISOビルド:ブロードコムが配布するインストール・アップグレード用ISOのビルド番号。パッケージ一式全体のコンパイル状態を表し、VAMIまたはデプロイウィザード画面で確認可能です。
  • アプリケーションビルド:基盤管理サービス(vpxdデーモン)のコンパイル番号。vpxd.log、vSphere REST APIのレスポンス、PowerCLIの実行結果に出力されます。

vCenterビルド番号対照表(6.x~9.x)

自身の環境の正確な状態を確認するには、公式のビルド管理リストと照合する必要があります。

下記の表には各メジャーリリースの主要マイルストーン(GAリリース、最新パッチ、代表的な中間リリース)を記載しており、リリースタイムライン上の位置を素早く把握できるようにしています。

完全なパッチ履歴についてはブロードコムナレッジベース 326316を参照してください。

リリース名 リリース日 バージョン文字列 ISOビルド アプリケーションビルド
vCenter Server 9.0.2 2026-01-20 9.0.2.0 25148086 25148086
vCenter Server 9.0.1 2025-09-29 9.0.1.0 24957454 24957454
vCenter Server 9.0 GA 2025-06-17 9.0.0.0 24755230 24755230
vCenter Server 8.0 Update 3j 2026-05-27 8.0.3.00900 25413364 25413364
vCenter Server 8.0 Update 3e 2025-04-11 8.0.3.00500 24674346 24674346
vCenter Server 8.0 Update 3 GA 2024-06-25 8.0.3.00000 24022515 24022515
vCenter Server 7.0 Update 3t 2024-10-21 7.0.3.02200 24322018 24322018
vCenter Server 7.0 Update 3 GA 2021-10-05 7.0.3.00000 18700403 18700403
vCenter Appliance 6.7 Update 3q 2022-02-08 6.7.0.52000 19300125 19299595
vCenter Appliance 6.7 GA 2018-04-17 6.7.0.10000 8217866 N/A
vCenter Server 6.5 Update 3w 2024-07-04 6.5.0.43000 24045034 24045034

注記:本表にはISOビルドとアプリケーションビルドの両方の番号を記載しています。両者の違いについては本ガイド後半のISOビルドとアプリケーションビルドの違いのセクションで解説しています。

補足情報:vSphere 7.0以降、VMwareはWindows版vCenterサーバーの提供を終了しました。7.0以降のすべての項目はVCSA(vCenterサーバーアプライアンス)のデプロイメントを指します。

vCenterビルド番号の確認方法(5種類)

管理者はGUIコンソール、コマンドライン、プログラム用APIなど、用途に応じた複数の手段でビルド番号を取得できます。

方法1:vSphereクライアントUI

最も簡単な確認手段です。

  1. vSphereクライアントにログインします。
  2. インベントリツリーの最上位にあるvCenterサーバーオブジェクトを選択します。
  3. 上部ユーティリティバーのヘルプを開き、VMware vSphereのバージョン情報をクリックします。
  4. ポップアップダイアログにバージョンとビルド詳細が表示されます。

vSphereクライアントによるビルド番号確認

方法2:VAMI(ポート5480)

vCenterサーバーアプライアンス管理インターフェース(VAMI)はアプライアンス全体の設定・状態情報を提供します。

  1. ブラウザを開き、https://<vcenterのFQDNまたはIP>:5480にアクセスします。
  2. rootユーザーの資格情報でログインします。
  3. 概要ページの製品情報欄からバージョンビルド番号項目を確認します。

VCSAのビルド番号確認

方法3:VCSAへSSH接続

GUIが応答しない場合やシェルから直接確認したい場合はSSHでアプライアンスに問い合わせます。

  1. root資格情報を使用してVCSAにSSH接続します。
  2. 既定シェルがアプライアンスシェルの場合はshellと入力してbashに切り替えます。
  3. 以下のコマンドを実行します。
bash
vpxd -v
  1. 実行結果にアプリケーションビルド情報が出力されます。例:VMware vCenter Server 8.0.3 build-25413364.

方法4:PowerCLI

PowerShellでvSphereを管理する管理者は、1行のコマンドでビルド情報を取得できます。

  1. Connect-VIServerを使用してvCenterインスタンスに接続します。
  2. 以下のコマンドを実行します。
powershell
$Global:DefaultVIServers | Select-Object Name, Version, Build
  1. 実行結果にサーバー名、バージョン文字列、ビルド番号が表形式で出力されます。
ヒント:接続手順やコマンドの詳細なリファレンスはVMware PowerCLIガイドを参照してください。

方法5:vSphere REST API

プログラムからビルド情報を取得する場合は、以下のエンドポイントにGETリクエストを送信します。

http
GET https:///api/vcenter/system/version

JSONレスポンスにはversionとbuildフィールドが含まれており、自動化ツールが基準バージョンとの適合性判定に活用できます。

複数vCenterのビルド番号を自動で一括確認する方法

大規模環境では各vCenterを手動で確認するのは手間がかかります。下記スクリプトは接続中のすべてのvCenterからビルド情報を収集し、計画・コンプライアンス業務で使用するため出力ファイルに書き出します。

PowerCLI自動収集スクリプト

本スクリプトはアクティブなvCenter接続を順次走査し、結果をCSVファイルに出力します。

powershell
# 接続中の全vCenterから情報を収集
$vCenterReport = foreach ($server in $Global:DefaultVIServers) {
    [PSCustomObject]@{
        vCenterName = $server.Name
        Version     = $server.Version
        BuildNumber = $server.Build
        CheckDate   = (Get-Date).ToString("yyyy-MM-dd")
    }
}

# 収集したデータをCSVファイルに出力
$vCenterReport | Export-Csv -Path "C:\temp\vCenter_Build_Report.csv" -NoTypeInformation

REST APIによる取得方法

PowerCLIを導入していない環境では、Invoke-RestMethodによる直接API呼び出しでVMwareモジュールなしで情報を取得可能です。

powershell
$vCenter = "vcenter.local"
$headers = @{ "vmware-api-session-id" = "自身のセッショントークン" }
$response = Invoke-RestMethod -Uri "https://$vCenter/api/vcenter/system/version" -Method Get -Headers $headers -SkipCertificateCheck
$response | Select-Object version, build

ISOビルドとアプリケーションビルドの違い

vSphere 5.x~8.xでは使用するインターフェースによって2種類のビルド番号が表示されます。正確なパッチ適用、互換性検証、サポート問い合わせのため、両者の差を理解する必要があります。

2種類のビルド番号体系(vSphere 5.x~8.x)

VMwareは仮想アプライアンスOSと内部で動作する管理アプリケーションを分離するため、二重ビルド番号構造を設計しました。

vCenter更新用ISOファイルには独自のビルド番号が付与されており、Photon OS、システム依存パッケージ、同梱パッチ一式のコンパイル状態を表します。

OS内部の基盤管理サービス(vpxd)には別のビルド番号が割り当てられ、管理エンジン単体のコンパイルバージョンを示します。

各識別子が表示される箇所

下記の表に各ツール・インターフェースで表示されるビルド番号と対象コンポーネントを記載します。

インターフェース/ツール 表示される識別子 対象コンポーネント
VAMIコンソール(ポート5480) ISOビルド アプライアンスOSパッケージ
vSphereクライアント(バージョン情報ダイアログ) アプリケーションビルド 稼働中のvpxdデーモン
PowerCLI($Global:DefaultVIServers) アプリケーションビルド 基盤APIレイヤー
ESXiホスト接続状態画面 アプリケーションビルド 管理エージェント連携層
サポートシェル(vpxd -v) アプリケーションビルド 管理エンジン

vSphere 9.0の統一ビルド番号

vSphere 9.0からは、すべてのインターフェースでISOビルドとアプリケーションビルドの番号が一致するようになりました。ブロードコムがアプライアンスのコンパイルパイプラインを再構築し、Photon OSパッケージとvpxdサービスを一括コンパイルする仕組みに変更したため、どのツールやAPIから確認しても同一のビルド番号が出力されます。

アップグレード計画におけるビルド番号の活用方法

安全なアップグレード計画の策定にはバージョン名だけでは不十分です。ビルド番号は互換性検証、更新順序の確定、アップグレードパスの遮断回避に必要な精密な情報を提供します。

1. 「8.0 Update 3」という表記だけではアップグレード判断に不十分な理由

「8.0 Update 3」のようなリリース名には複数の独立したパッチリリースが含まれます。Update 3 GA、Update 3c、Update 3jはそれぞれ異なるビルド番号を持ち、対応するセキュリティアドバイザリと不具合修正内容も異なります。

アップグレード計画に「Update 3」という名称だけを記載すると、担当者が古く脆弱なビルドをインストールする恐れがあります。目標とする正確なビルド番号を指定することでこの曖昧さを解消できます。

2. 製品相互運用性マトリックスによるアップグレードパス照合

ライフサイクル作業を開始する前に、現在のビルド番号とアップグレード先のビルド番号をVMware製品相互運用性マトリックスと照合してください。同マトリックスは対応するアップグレードパスを記載していますが、正確な結果を得るには詳細なビルド情報が必須です。

確認すべき点として「過去バージョンへのダウングレード遮断」があります。現在のvCenterビルドのセキュリティエポックが新しいメジャーバージョンのターゲットビルドより新しい場合、インストーラーがアップグレードをブロックします。事前にビルド番号を確認することで、このようなアップグレード失敗を未然に防げます。

3. vCenterはESXiホストより先にアップグレードする

vSphereライフサイクル管理の基本ルール:vCenterは配下のESXiホストと同一、または上位のバージョンにする必要があります。古いビルドのvCenterは新しいESXiホストのAPI呼び出しを解釈できず、管理レイヤーの通信が切断されます。

アップグレード前に両コンポーネントのビルド番号を確認し、vCenterが配下のすべてのホストのビルドレベル以上であることを確かめます。

4. サードパーティ連携に必要な最低ビルド要件

仮想化環境は単独で運用されることは稀です。バックアップ製品、監視ツール、ストレージアレイ、VxRailなどのハイパーコンバージド基盤は、大まかなバージョン名ではなく特定のビルド番号を連携条件として定めている場合が多いです。

例えば特定のAPI機能を利用するため、バックアップ製品がvCenter Server 8.0.3 build 24022515以上を要求するケースがあります。アップグレード前に目標ビルド番号をこれらの要件と照合することで連携障害を回避し、サードパーティのサポート契約を維持できます。

vCenter間のビルドを跨いだVM移行方法

移行先vCenterのビルド番号確認と互換性検証は作業の半分に過ぎません。次の課題はワークロード自体の移行です。

vCenter 7.0から8.0への統合、別ハイパーバイザーへの移行、クラウドへの移行など、vMotionだけでは対応できないプラットフォーム・フォーマットの境界を越えてVMを移動する必要がある場合、i2Migrationが活用できます。

i2Migrationは物理・仮想・クラウド環境を跨いだ統合VM/データ移行プラットフォームです。

i2Migrationの主な機能:

  • 無停止完全マシン移行:ブロックレベルとファイルレベルのハイブリッドレプリケーションを活用し、本番ワークロードを停止させずにシステム全体を移行します。バージョンアップの境界を跨いだvCenter統合作業に特に有効です。
  • 全環境対応物理から仮想(P2V)、仮想から仮想(V2V)、物理からクラウド、仮想からクラウドの移行に対応。オンプレvCenter間の移行はもちろん、AWSやAzureへのワークロード移行まで全シナリオに対応します。
  • ハードウェア非依存デプロイ:BIOS/UEFIの自動変換、ドライバー自動注入機能を搭載し、異種ハードウェアプラットフォームを跨いでも移行後のVMが正常起動します。
  • 標準搭載の検証・リカバリ機能:エンドツーエンドのデータ検証と自動修正を実施。ロールバックと任意時点リカバリに対応し、移行中のデータ完全性を保証します。
  • 安全かつ効率的な転送AES/SM4暗号化、帯域制御、並列転送、中断再開機能を搭載し、長距離や帯域制限のあるネットワーク環境でも安定したデータ転送を実現します。

移行後も継続的なデータ保護が必要な環境には、i2Backupが仮想・物理・クラウドワークロードを一元管理するバックアップ機能を提供します。高可用性が求められるシステムには、i2Availabilityがリアルタイムレプリケーションと自動フェイルオーバーを実装し、基盤更改中・更改後も重要サービスを継続稼働させます。

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よくある質問

Q1:VAMIとvSphereクライアントで表示されるビルド番号が異なるのはなぜ?

VAMIはアプライアンスのパッケージDBを参照してISOビルドを表示し、vSphereクライアントは稼働中のvpxdサービスを参照してアプリケーションビルドを表示するためです。詳細は上記の「ISOビルドとアプリケーションビルドの違い」セクションを参照してください。

 

Q2:ESXiのビルド番号も同じ仕組みですか?

違います。ESXiはハイパーバイザーイメージ全体の状態を示す単一のビルド番号を使用します。OS層と管理エージェントが分離されていないため、旧版vCenterに見られる二重番号の問題は発生しません。

 

Q3:ブロードコムによるVMware買収後、公式のビルド番号一覧はどこで確認できる?

正式な情報源はブロードコムナレッジベース 326316です。旧来のkb.vmware.comのURLは自動的に同ポータルにリダイレクトされます。

 

Q4:vSphere 9.0のビルド番号に変更点はありますか?

vSphere 9.0より、すべてのインターフェースでISOビルドとアプリケーションビルドの番号が統一されました。

ブロードコムがビルドパイプラインを統合し2つのコンポーネントを一括コンパイルするようにしたため、監査作業が簡素化され、サポート問い合わせ時の番号不一致の問題が解消されています。

まとめ

vCenterのビルド番号は環境のパッチ適用状況を正確かつ曖昧なく把握するための情報です。「Update 3」といったバージョン名は目安に過ぎず、アップグレード適格性、サードパーティ製品との互換性、サポート対応の正確性を判断する基準となるのはビルド番号です。

本ガイドの要点:サポート問い合わせやパッチ適用計画を作成する前にはISOビルドとアプリケーションビルドの両方を確認する、製品相互運用性マトリックスと照合する際はリリース名ではなく正確なビルド番号を使用する、vCenterはESXiホストより先にアップグレードする。

vCenterのメジャーバージョン移行を実施する環境では、ビルドの互換性確認は工程の一部に過ぎません。プラットフォームやハイパーバイザーの境界を跨いでワークロードを移行する必要がある場合は、Info2softのi2Migrationが共有ストレージやvMotionの事前条件なしで異環境間のVM移行に対応します。

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