VMwareをAWSにバックアップする3つの方法
オンプレミスサーバーの故障やデータセンターの停止が発生した際、迅速な復旧を実現するには、災害発生前にVMware仮想マシンのバックアップをAWSに保存しておく必要があります。
本ガイドではVMwareのAWS向けバックアップ手法を3種類解説します。前半2つは既存のオンプレミス環境を維持したままクラウドにデータを保護する方式、3つ目は仮想マシンを直接AWS上で稼働させる移行方式となります。
- AWS Backup:AWS標準ツールでオンプレミスVMware仮想マシンをバックアップ、既存環境の変更不要
- Amazon S3:仮想マシンのバックアップデータをS3に保管、柔軟で低コストなクラウドストレージと長期アーカイブに対応
- AWS EC2移行:仮想マシンをEC2上で稼働させる手法、データセンター統合や災害復旧フェイルオーバーに適している
手法1:AWS BackupによるオンプレミスVMwareのバックアップ
AWS Backupは一元管理型サービスで、オンプレミス環境の設定を変更することなくVMware仮想マシンをAWSにバックアップ可能です。vCenter 6.7、7.0、8.0で管理する仮想マシンに対応します。
本手法は既にAWSサービスを活用しており、AWS純正のポリシー型バックアップソリューションを求める企業に適しています。 
事前要件
作業を開始する前に以下の項目を確認してください。
- 適切なIAM権限を付与されたAWSアカウント
- ゲートウェイホストからAWSエンドポイントへのインターネット外向け通信
- スナップショット作成とディスクデータ読み取り権限を持つvCenter認証情報
- ゲートウェイのキャッシュ用ローカルストレージの十分な容量
段階的な設定手順
- オンプレミスにAWS Backupゲートウェイをデプロイ
- AWS BackupコンソールよりOVAテンプレート形式のゲートウェイをダウンロード
- vSphere Clientでデプロイし、固定IPアドレスを割り当て
- ゲートウェイがAWSエンドポイントに到達できることを確認
- ゲートウェイをアクティベート
- AWSコンソールにて「AWS Backup」→「外部リソース」→「ゲートウェイ」へ移動
- ゲートウェイのIPアドレスを入力しアクティベーションを実行
- ゲートウェイをvCenterに接続
- 「ハイパーバイザーに接続」を選択
- vCenterのホスト名と認証情報を入力
- バックアッププランを作成しリソースを割り当て
- 「バックアッププラン」→「バックアッププランを作成」へ移動
- 実行スケジュールと保持期間を設定
- 「リソースの割り当て」で対象仮想マシンを個別選択、またはリソースタグで自動的に対象に含める
- バックアップジョブを監視
- 「ジョブ」ダッシュボードからバックアップ状況を確認
- 失敗または処理速度の遅いジョブについてはAmazon CloudWatchのログを確認
制限事項
- VMware向けAWS Backupは変更ブロック追跡(CBT)に依存します。CBTが無効化またはリセットされた場合、次回ジョブがフルバックアップとなり、転送時間とストレージ使用量が増加します。
- ファイル単位のリストアに対応しておらず、仮想ディスクまたは仮想マシン全体の復元が必要となります。
手法2:VMware仮想マシンをAmazon S3にバックアップ
Amazon S3はVMwareバックアップの保存先として広く活用されているストレージです。スケーラブルなオフサイト保管庫として機能し、長期アーカイブやローカルハードウェア故障、ランサムウェア攻撃からの保護に有効です。 
VMwareバックアップの保存先としてS3を選ぶ理由
S3は事実上無制限の容量と高いデータ耐久性を備え、物理テープの管理や二次データセンターの維持が不要です。複数のストレージ階層を活用することで、データ取得速度とコストのバランスを調整できます。
段階的な設定手順
- バックアップツールで仮想マシンデータを出力・取得
- 重複排除と圧縮機能付きイメージ単位バックアップに対応したソリューションを使用し、インターネット経由の転送データ量を削減
- 初回フルバックアップ後の増分バックアップに対応するツールを選定し、変更のあったデータブロックのみ毎回アップロード
- S3をバックアップ保存先として設定
- 任意のAWSリージョンにS3バケットを作成
- バックアップソフトウェア内にて、作成したS3バケットを保存先として登録
- 認証には可能な限りIAMロールを使用。アクセスキーを利用する場合は、紐付くIAMユーザーに最低限s3:PutObjectとs3:ListBucketの権限を付与
- 保持ポリシーとライフサイクルポリシーを設定
- S3管理コンソールにて対象バケットの「管理」タブを開く
- ライフサイクルルールを作成し、古いバックアップをS3 GlacierまたはS3 Glacier Deep Archiveなど低コスト階層へ自動移行
- 保持期間を超過したバックアップを削除する有効期限ルールを設定
考慮事項
- ストレージ費用:S3はストレージ容量だけでなくPUTリクエストやデータ取得にも課金されます。定期的に利用状況を監視し、予期せぬ費用発生を防止してください。
- 転送速度:大容量の仮想マシンをアップロードするとインターネット回線が飽和する恐れがあります。安定したスループットを確保したい場合はAWS Direct ConnectまたはAWS Storage Gatewayの導入を検討してください。
- 暗号化:S3バケットのサーバー側暗号化(SSE)を有効にし、保存中のデータを保護します。また、バックアップツール側でAWS送信前に転送中データの暗号化を実施するよう確認してください。
手法3:VMware仮想マシンをAWS EC2に移行
本手法はバックアップとは異なり、データの複製を保管するのではなく、ワークロード自体をAmazon EC2上で直接稼働させます。移行完了後、仮想マシンはオンプレミス環境で動作しなくなります。
単なるデータ保護ではなく、恒久的にワークロードをAWSへ移行したい場合に本手法を利用します。 
本手法の活用シナリオ
- データセンター統合:オンプレミスハードウェアを削減し、ワークロードを恒久的にクラウドへ移行
- 基盤プラットフォーム移行:長期戦略の一環としてクラウドネイティブ基盤へ切り替え
- 災害復旧フェイルオーバー:緊急時に本番環境を引き継ぐホット/ウォーム待機サイトとしてAWSを活用
段階的な移行手順
- 仮想マシンの互換性検証
- AWSアプリケーション移行サービス(MGN)のドキュメントを参照し、OSバージョンとカーネルがサポート対象か確認
- AWS Nitro環境と非互換となるレガシーソフトウェアや設定項目を把握
- 移行用に仮想マシンを事前準備
- AWS起動時に新しいIPアドレスを取得できるよう、仮想マシンをDHCP設定に構成
- AWSネットワークと競合するオンプレミス固有の設定を削除
- EC2へレプリケーションまたはインポート
- ライブワークロードに推奨:AWS MGNを使用しブロック単位の継続レプリケーションを実行、停止時間を最小限に抑える
- 代替案:VM Import/ExportでOVAまたはVMDKファイルをS3バケットにアップロードし変換、オフラインまたは検証用移行に適している
- 検証後EC2上で起動
- 本番トラフィック切り替え前にテストインスタンスを起動
- アプリケーションが正常に起動するか、セキュリティグループに必要な通信が許可されているか確認
- ネットワーク接続性を確認し、AWS Nitro環境でのドライバ関連の不具合を点検
考慮事項
- ドライバの互換性:一部の仮想マシンはAWS Nitro環境で正常起動するためドライバ調整が必要です。AWS MGNが大半の調整を自動処理します。
- ライセンス:オンプレミスからクラウドへ移行すると、一部OSやエンタープライズソフトウェアのライセンス要件が変更される場合があるため、移行前に確認を実施してください。
i2BackupによるVMwareのAWS向けバックアップ支援
上記3手法は単純な環境では有効ですが、大規模にVMwareのAWSバックアップを管理すると、統一されたスケジュール管理、暗号化コンプライアンス、ストレージコスト制御、複数仮想マシンの一元可視化といった課題が発生します。
i2Backupといった専用バックアップソリューションはこれらの課題を解決します。単一プラットフォーム上でVMwareからAWSへのバックアップを統合処理し、各ツールを個別管理する運用負担を削減します。
i2Backupの主な機能
- エージェントレス仮想マシンバックアップ:仮想化基盤の標準APIを活用し、各仮想マシンにエージェントをインストールせずバックアップを実行。バックアップ処理中の本番ワークロードへの影響をゼロに抑えます。VMware、Hyper-Vをはじめ主要な仮想化プラットフォーム全てに対応。
- VMwareからS3へのバックアップ:Amazon S3をバックアップ保存先として直接対応し、仮想マシンのバックアップデータをクラウドに保管可能。ローカルディスク、NAS、テープライブラリ、オブジェクトストレージなど多様な保存先に対応し、柔軟な運用を実現。
- AWS EC2・クラウドワークロード向けバックアップ:AWS環境の保護にも対応し、EC2インスタンスのバックアップ・リストアを実行可能。オンプレミスVMwareと同等のエンタープライズ級セキュリティと管理機能を提供。
- ブロック単位変更追跡:初回フルバックアップ後は変更されたデータブロックのみ取得するため、分単位のRPOによる準リアルタイムバックアップを実現。AWS S3などクラウド保存先への転送量とストレージコストを大幅削減。
- 柔軟なスケジュールと自動ワークフロー:時間・日・週・月単位でバックアップスケジュールを自由設定。設定後は人手を介さず自動実行され、保持ルールに基づき古いバックアップを自動削除しストレージ容量を適切に管理。
VMwareワークロードをAWSにバックアップする企業にとって、i2Backupは複数の分散ツールを統合した単一の管理プラットフォームとなり、暗号化、自動化、複数保存先対応を標準搭載しています。
VMwareをAWSにバックアップする際のベストプラクティス
以下の運用ルールを順守することで、バックアップの復元可能性を確保し、AWSの費用を安定的に制御できます。
- 初回フルバックアップ後は増分バックアップを使用
2回目以降のジョブでは変更のあったデータブロックのみ転送し、ネットワーク負荷、バックアップ時間、毎月のストレージ費用を大幅に削減します。
- 転送中および保存中のデータを暗号化
データ転送にSSL/TLSを利用し、保存したバックアップイメージにはAES-256またはAWS KMS暗号化を有効にします。AWSに到着後だけでなく、自社環境から送信する前にバックアップツール側で暗号化を実施するよう確認してください。
- スケジュールを自動化し、障害アラートを設定
手動によるバックアップは実行忘れや遅延が発生しやすいため、自動スケジュールを設定し、メールまたはSMS通知を有効にしてジョブ失敗時に即時把握できるようにします。
- バックアップだけでなく、定期的にリストア検証を実施
バックアップジョブが正常完了しただけでは、復元が成功する保証はありません。定期的にリストア訓練を実施し、仮想マシンが正常起動するか、必要な時に復旧時間目標(RTO)を達成できるか確認してください。
- S3ライフサイクルポリシーでストレージ費用を管理
規定の保存期間を経過した古いバックアップは自動的にS3 GlacierまたはS3 Glacier Deep Archiveへ移行させ、手動の削除作業なしで長期保管のコストを抑制します。
まとめ
VMwareワークロードのAWS向けバックアップに万能な手法は存在せず、導入の目的に合わせて適切な方式を選択する必要があります。
- AWS Backup:AWSエコシステムを活用しており、オンプレミスVMware仮想マシンをAWS純正のポリシー型で保護したい企業に適しています。
- Amazon S3:柔軟で費用対効果の高い長期仮想マシンバックアップ・アーカイブ保存先として最適です。
- AWS EC2移行:単なるデータ保護ではなく、ワークロードを恒久的にクラウドへ移行することを目的とする場合に選択します。
いずれの手法を採用した場合も基本的なルールは共通です。増分バックアップでコストを制御し、転送中・保存中データを暗号化、スケジュールを自動化、バックアップ完了だけでなく定期的にリストア検証を実施してください。
大規模にVMwareとAWSワークロードを管理する企業には、Info2Softのi2Backupが最適です。エージェントレス仮想マシンバックアップ、S3・EC2対応、全環境の一元管理機能を単一プラットフォームに統合して提供します。