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管理オブジェクトブラウザ(MOB)はVMware vSphereに標準搭載されたWebベースのインターフェースで、仮想基盤の基盤API構造を可視化します。VMware vCenterサーバーとVMware ESXiホストの両方で利用可能で、通常URLエンドポイント(/mob)からアクセスできます。
簡単に説明すると、vSphereクライアントが操作性に優れた抽象化レイヤーを提供するのに対し、管理オブジェクトブラウザはVMware環境を支える実際のバックエンドデータモデルを出力します。そのため詳細な検証、デバッグ、APIレベルでの操作を行う際に欠かせないツールとなります。
管理オブジェクトブラウザの主な機能:
管理オブジェクトブラウザは、vSphere WebサービスAPIを読みやすいWeb形式で公開する仕組みで動作します。仮想マシン、ホスト、データストアなどVMware環境のすべてのコンポーネントは管理オブジェクトとして表現されます。
MOBにアクセスするとルートオブジェクトから開始し、基盤全体の階層を辿ることができます。各ページは特定のオブジェクトに対応し、以下3つの主要要素を含みます。
この構造はVMware内部の基盤モデルをそのまま反映しています。GUIレイヤーを経由せず、API、SDK、自動化ツールが使用するのと同じオブジェクトとメソッドに直接アクセスする仕組みです。
この設計により、MOBは実行中のAPIエクスプローラーとして機能し、以下の操作を実現します。
操作性に優れる反面、抽象化レイヤーや安全制御が存在しないため、MOB経由で実行した操作は即時システムに反映される点に注意が必要です。
管理オブジェクトブラウザはVMware vCenterサーバーとVMware ESXiの両方に標準実装されているため、アクセスは簡単です。
vCenter上のMOBにアクセスするにはブラウザを開き、以下のURLを入力します。
https://<vCenterサーバーアドレス>/mob
vCenterのログイン情報で認証を行うと、ルートオブジェクト(ServiceInstance)に遷移し、基盤全体のインベントリを閲覧できます。
ESXiホストから直接MOBにアクセスする場合は以下のURLを使用します。
https://<ESXiホストアドレス>/mob
ホスト単位の情報が表示され、特定ホストやスタンドアロン環境のトラブルシューティングに適しています。
MOBへのアクセスには十分な権限を持つ有効なログイン情報が必要です。閲覧のみであれば管理者または読み取り専用ロールで対応可能ですが、メソッド実行には上位権限が求められます。アクセスに失敗する場合はユーザーロールとAPIアクセス権限を確認してください。
1. ServiceInstance画面から「content」をクリックし、vSphereのコアサービス管理モジュールにアクセスします。
2. 「rootFolder」を選択し、データセンター(通常接頭辞group-dが付与)を表示します。
3. 「vmFolder」をクリックすると、moRef IDにvm-の接頭辞が付いた仮想マシン一覧を参照できます。
4. guestセクション(ゲストOS詳細)、summaryセクション(ハードウェア・設定情報)、runtimeセクション(電源状態・健全性)など主要なオブジェクト項目を確認します。
覚えておくべき用語:
多くの環境ではセキュリティ上の理由から、特にESXiホストではMOBが標準で無効化されています。APIを直接操作可能なため、有効化には細心の注意が必要です。
MOBが標準で無効な理由
MOBは内部のオブジェクト構造を公開し、保護機構なしでメソッドを実行可能にするため、不正な変更や情報漏洩といったセキュリティリスクを引き起こす可能性があります。そのため各種セキュリティ基準では、必要な場合を除き無効化を推奨しています。
ESXiホストでは詳細設定からMOBを有効化できます。
手順1. ESXiホストクライアントにログイン
手順2. 「設定」→「システム」→「詳細システム設定」へ移動
手順3. パラメータ Config.HostAgent.plugins.solo.enableMob を検索
手順4. 値を「true」に設定
手順5. 設定を適用
有効化後は/mobのURLからMOBにアクセス可能になります。
トラブルシューティングや検証作業完了後は、MOBを無効化することを推奨します。
手順1. 「詳細システム設定」画面に戻る
手順2. 「Config.HostAgent.plugins.solo.enableMob」の値を「false」に変更
手順3. 設定を保存
MOBを無効化することで攻撃対象領域を削減でき、特に本番環境ではVMwareのセキュリティベストプラクティスに準拠した運用となります。
手順1. ログまたはMOBの階層から対象VMのmoRef IDを取得
手順2. https://<IPアドレス>/mob/?moid=<VMのmoRef-ID> にアクセス
手順3. 「CreateSnapshot_Task」をクリック
手順4. スナップショット名を入力し、メモリ保存・クエス設定オプションを指定後、メソッド実行をクリック
手順5. vSphereクライアントにスナップショットが作成されたことを確認し、検証完了後は削除
手順1. ServiceInstanceのメイン画面からQueryVMotionCompatibilityを実行
手順2. 仮想マシンと移行先ホストのmoRef IDを入力
手順3. 出力結果を確認し、CPUやネットワークの不整合といった互換性障害要因を特定
MOBはAPIで使用する正確なプロパティパスを確認できるため、安定した自動化スクリプト作成に非常に役立ちます。
PowerCLIサンプル:
Connect-VIServer -Server <vCenter-IP>
$vm = Get-VM -Name "ExampleVM"
# MOBのプロパティパスと一致
$vm.ExtensionData.Guest.HostName
$vm.ExtensionData.Summary.Config.GuestFullName
これらのパスはMOBに表示される情報と完全に対応しており、スクリプトの精度を保証します。
VC:VirtualMachine型の入力変数を使用したvROワークフロー内:
System.log("VMホスト名: " + vm.guest.hostName);
System.log("ゲストOS: " + vm.summary.config.guestFullName);
MOBを利用して利用可能なプロパティとアクセス方法を事前検証することで、スクリプトのエラーを削減できます。
Site24x7などのツールはMOBを経由して生のオブジェクトデータを収集し、詳細なVMware監視を実現しています。MOBを有効化することで、ポーリング処理がmoRef IDとリアルタイムプロパティにアクセスでき、正確なパフォーマンス・稼働状況追跡が可能となります。
1. HTTP 503 サービス利用不可
MOBが無効化されています。詳細設定のConfig.HostAgent.plugins.solo.enableMobパラメータで再度有効化してください。
2. HTTP 401 認証失敗
ログイン情報が誤っています。vSphere SSOまたはESXiのユーザー名・パスワードを確認してください。
3. ページが空白または応答しない
ブラウザのキャッシュをクリアするかシークレットモードを使用してください。オブジェクト数が多いと読み込みが遅くなるため、moRef直接URLを使用すると高速にアクセスできます。
4. SSL証明書警告
VMwareの自己署名証明書では標準的な現象です。内部利用の場合はそのまま進むか、信頼できる証明書をインストールしてください。
5. メソッド実行エラー
仮想マシンまたはホストが適切な状態か確認(例:スナップショット作成時は電源ON状態が必要)。権限を確認して再実行してください。
管理オブジェクトブラウザは環境の把握とトラブルシューティングに役立ちますが、データ損失、システム障害、ランサムウェアに対する保護機能は備えていません。
事業継続性を確保するため、企業はリアルタイムレプリケーション、自動フェイルオーバー、ポリシー型バックアップ管理といった専用のバックアップ・災害復旧ソリューションを導入する必要があります。
例えばInfo2softの企業向けソリューション i2Backup とi2Availabilityは以下の機能を提供します。
MOBのような詳細可視化ツールと堅牢なデータ保護戦略を組み合わせることで、耐障害性と安全性の高いVMware基盤を構築できます。
管理オブジェクトブラウザはVMware vSphereに搭載された強力なツールですが、認知度が低い機能でもあります。基盤のオブジェクトモデルを詳細に確認でき、vSphere APIと直接連携する操作を実行可能です。
高い機能性の反面、リスクも伴うため、日常的な管理ツールではなく、トラブルシューティング、デバッグ、API検証といった限定的な用途で使用するのが適切です。本番環境では、より安全で制御されたツールを活用することが重要です。