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By: Dylan

「vSphere HAマスターエージェントが検出できない」エラーに遭遇していませんか?

VMware HA(高可用性)はvSphereクラスターの機能であり、物理ESXiホストに障害が発生した際、仮想マシンを自動的に再起動します。しかしvCenterのアップデートやホストメンテナンス後、一部管理者は「Cannot find vSphere HA Master Agent(vSphere HAマスターエージェントを検出できません)」というエラーに直面します。

非常によく見られる事象です。本記事ではエラーの意味、一般的な発生原因を解説し、簡単かつ迅速な解決方法をご紹介します。

cannot find vsphere ha master agent

エラーの意味とは?

このエラーを理解するには、マスターエージェントの役割を把握する必要があります。

  • マスター:vSphere HAを有効にすると、クラスター内のいずれか1台のホストが「マスター」に選出されます。
  • 監視役:マスターホストはvCenter Serverと通信し、その他すべての「スレーブ」ホストと仮想マシンの状態を監視する役割を担います。
  • 調整役:毎秒ネットワークのハートビートを監視してホスト障害を検知します。ハートビートが途切れた場合、データストアの状況を確認し、ホストが障害状態なのか単なるネットワーク隔離状態なのか判断します。

vCenterがHAマスターエージェントを発見できない場合、vSphere HAはクラスター内のHAマスターホストを特定・通信できない状態を意味し、vSphere HAが完全に動作しなくなります。

主な発生原因

この問題は主に下記要因で発生します。

  • vCenterの更新・アップグレード:最も頻出する要因です。vCenter更新時、新バージョンの障害ドメインマネージャー(FDM)エージェントがESXiホストに配信されます。インストール失敗またはエージェントサービスの再起動不具合が起きると、マスター選出プロセスが停止します。
  • ネットワーク設定変更:マスターエージェントは管理ネットワークを利用してハートビートを送信します。VLAN、DNS、ファイアウォールポート(特に8182番)の変更により、ホスト同士が相互に認識できず、リーダー選出が実施できなくなります。
  • ホストメンテナンス作業:現行のマスターエージェントホストがメンテナンスモードに入る、または再起動されると新たなマスター選出が実行されます。基盤の通信に不具合が存在すると、クラスターは新しいマスターを選出できません。
  • ストレージとハートビートの不具合:ネットワークが不安定な場合、vSphere HAは予備の通信経路としてデータストアハートビートを利用します。クラスター内の全ホストがアクセス可能な共有データストアが2つ以上存在しない、またはストレージ接続が断たれると、マスターはスレーブホストの状態を確認できません。またvSANクラスターではHA通信がvSANネットワークを流れるため、VMkernelアダプターのvSANトラフィック設定を確認し、HAの初期化に支障がないか検証する必要があります。

続きをご確認ください。HA機能を復旧させ、アラートを恒久的に解消する具体的な手順を記載しています。

「vSphere HAマスターエージェントが検出できない」を迅速に解決する方法

記載されている解消策を順番に試すことで、問題を容易に改善できます。

解消策1. vSphere HAの再設定(最も手軽な方法)

手順1. vSphere Clientにログインします。

手順2. 「ホストとクラスター」へ移動します。

手順3. 左側インベントリツリーから対象のクラスターを右クリックします。

手順4. 「vSphere HA」>「vSphere HAの再設定」を選択します。

画面下部のタスク欄に「vSphere HAエージェントのインストール」または「vSphere HAの設定」タスクが表示されます。この操作によりFDMサービスが再起動され、ホストは再度マスターの探索を試行します。

解消策2. vSphere HAの無効化→再有効化

単純な再設定で改善しない場合は、障害ドメインマネージャー(FDM)エージェントを再デプロイする必要があります。クラスター全体でマスターが検出できない不具合に対する直接的な解決策です。

手順1. 「ホストとクラスター」を開き、左ナビゲーションのクラスター名を右クリックし「設定」を選択します。

手順2. 「構成」タブを開き、サービス配下の「vSphereアベイラビリティ」を選択します。

手順3. 「編集…」ボタンをクリックします。

edit vSphere Availability

手順4. vSphere HAのチェックを外し「OK」を押下します。

Disable Vsphere Availability

手順5. すべてのホストにおいて「vSphere HAの設定解除」タスクが完了するまで待機します。

手順6. 完了後、再度「編集」を開き「vSphere HA」にチェックを入れて有効化し「OK」をクリックします。

解消策3. ネットワーク接続とファイアウォールの検証

エージェントが初期化できない場合、ホスト同士がネットワーク上で相互に通信できていない可能性が高いです。

手順1. 8182番ポート確認:ESXiホスト間の物理ファイアウォールまたはNSXルールにおいて、TCP/UDP 8182番ポートが開放されていることを確認してください。HA通信に必須のポートです。

手順2. 管理IPの疎通確認:SSHでいずれかのESXiホストにログインし、クラスター内別ホストの管理IPへpingを実行します。

ping <対象ホスト管理IP>
nc -z <対象ホストIP> 8182

手順3. MTU値確認:ジャンボフレーム(MTU 9000)を利用する場合、すべてのVMkernelアダプターおよび物理スイッチで設定値を統一してください。値に不整合があるとHAマスター選出のパケットが廃棄されます。

手順4. 不具合要因が物理ファイアウォールではなく、ホスト側ファイアウォールが8182番のHA通信を遮断しているケースも存在します。各ホストにSSH接続し、下記コマンドを実行しFDMルールが有効か確認します。

esxcli network firewall ruleset list | grep fdm

fdmというルールセットが表示され、ステータスがenabledになっており、TCP/UDP 8182番通信を許可しているか確認します。無効の場合は下記コマンドで有効化します。

esxcli network firewall ruleset set --enabled true --ruleset-id fdm

HAクラスターに参加するすべてのホストで同様の操作を実施します。

解消策4:DNS・ホスト名関連の問題解決

vSphere HAはDNSに強く依存します。ホストが他ノードの名前解決に失敗すると、マスター選出処理が失敗します。

  1. クラスター内のすべてのホストが、FQDN(完全修飾ドメイン名)で相互に名前解決可能であることを確認。
  2. DNSサーバーを利用していない環境の場合、ESXiホストの/etc/hostsファイルを確認し、ホスト名とIPアドレスの対応関係が正確に記載されているか検証。

解消策5:エージェントの手動削除

特定のホストがHAクラスターに参加できない場合、FDMエージェントVIBファイルが破損している可能性があります。手動で削除し、vCenterにクリーンなバージョンを再インストールさせます。

手順1. 不具合のあるホストを右クリックしメンテナンスモードに移行します。

手順2.(オプション)ロックダウンモードが有効な場合、一時的に無効化します。

手順3. ESXiホストへSSH接続します。

手順4. 下記コマンドを実行しHAエージェントVIBを削除します。

esxcli software vib remove -n vmware-fdm -f

手順5. メンテナンスモードを解除します。

手順6. vSphere Client上でホストを右クリック、「接続」>「再接続」を選択。またはクラスターを右クリックし「vSphere HAの再設定」を実行すると、vCenterがエージェントを新規インストールします。

今後のアップグレードに向けた事前予防策

今後「vSphere HAマスターエージェントが検出できない」エラーを回避するため、更新・アップグレード前に実施する推奨事項を記載します。

1. HAの事前無効化

  • 考え方:vCenterアップグレード中は、ホスト側のFDMエージェントとの通信が一時的に遮断されます。事前にHAを無効にすることで、vCenterが管理できないサービスを操作しようとする状況を回避し、タスク停止やタイムアウトエラーを防ぎます。
  • 対応策:vCenter更新作業開始前にクラスター単位でHAをオフにし、vCenterが完全に起動・安定した後に再有効化します。

2. DRSを「部分自動モード」に設定

  • 考え方:アップグレード時、vCenterはホストリソース管理に遅延が発生する場合があります。DRSが「完全自動」の場合、HAエージェントの再初期化と同時にvMotionによるVM移行が実行され、管理ネットワークの負荷が上昇し、マスターエージェント選出処理に干渉する恐れがあります。
  • 対応策:DRSを部分自動モードへ切り替え、管理者の承認なしにVMが移動しない環境を作り、HAの安定化を促します。

3. DNSとNTPの健全性確認

  • NTP確認:vCenter ServerとすべてのESXiホストが同一のNTPソースで時刻同期されていることを確認してください。数秒の時刻ずれでも、エージェントインストール時のSSLハンドシェイクタイムアウトを引き起こします。
  • DNS確認:各ホストがvCenter、クラスター内他ホストのFQDNを名前解決可能であることを検証。HAのマスター選出処理はホスト名を使用します。

4. デポット検証完了まで待機(vSphere 7.x/8.x)

  • 考え方:イメージベースクラスターでvSphere Lifecycle Manager(vLCM)を利用している場合、アップグレード後に1~2時間程度の内部ソフトウェアデポット検証遅延が発生する既知の事象が存在します。検証完了前にHAを再有効化すると、FDMエージェント導入が失敗し「マスター検出不可」エラーが発生します。
  • 対応策:「イメージ準拠」タブが「検証中」「同期中」と表示されている場合は処理完了を待ってからHAを有効化してください。

コマンドラインからデポット状況を確認したい場合はPowerCLIでクラスターの準拠状態を取得できます。vCenterに接続後、下記を実行します。

Get-Cluster -Name "クラスター名" | Get-Compliance

デポット検証が実行中の場合、準拠状況はUnknownまたはIncompatibleと表示されます。処理完了後にCompliantまたはNonCompliantへ切り替わるため、そのタイミングでHAを再有効化してください。

5. ホスト側ディスク空き容量の確認

FDM VIB自体のサイズは微小ですが、ESXiホストの/tmpまたは/varパーティションの空き容量が枯渇すると、導入処理が静かに失敗します。各ESXiホストにSSHで接続し、下記コマンドで空き容量を確認します。

vdf -h

または汎用コマンド

df -h

/tmp/varのマウント先を確認し、それぞれ最低100MB以上の空き容量を確保してください。古いログファイルにより容量が埋まっている場合は不要なログを削除し、HA設定を再試行します。

統合バックアップソリューションでVMware仮想マシンのデータを保護

HAはホスト障害から仮想マシンを守る機能ですが、ランサムウェア攻撃や誤削除など、VM内部のデータ損失に対する防御策にはなりません。ここでi2Backupといった専用バックアップソリューションがVMware HA環境を補完します。

i2Backupは企業向け統合型バックアップソフトウェアです。高パフォーマンスなエージェントレスバックアップに対応し、仮想マシンを短時間で復旧可能な状態に保ちます。Information2 Softwareが開発するi2Backupは操作性に優れた管理画面を備え、各種VMバックアップを一括管理でき、データセキュリティと法令順守に対応する多彩な機能を搭載しています。

i2Backupの主な機能:

  • エージェントレスアーキテクチャ:各VM内部にソフトウェアをインストールする必要なく仮想環境全体を保護。管理工数とホストのリソース消費を削減します。
  • 増分バックアップ:変更ブロック追跡(CBT)技術により、前回バックアップ以降に更新されたデータのみ取得。時間とストレージ容量を節約します。
  • 不変ストレージによるランサムウェア防御:攻撃者がネットワークに侵入した場合でも、カーネルレベルの不変ストレージにより、バックアップデータが暗号化・削除・改ざんされることを防止します。
  • インスタントVM復旧:長時間のリストア作業不要。バックアップストレージから直接障害VMを起動可能で、データがバックグラウンドで復元される間に速やかに業務サービスを再開できます。
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まとめ

「vCenter Server can’t find vSphere HA master agent」のアラートはアップデート後に頻発する課題ですが、ホストの再設定またはHAサービスの切り替え操作で簡単に解消可能です。本記事の予防策を活用し、i2Backupのような最新のバックアップソリューションを導入することで、VMware環境が企業の基盤として安定的に稼働する状態を維持できます。

 

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